この映画は中川駿監督の経験したことをベースにしたオリジナル作品です。
これはある男子高校生が、体が動かなくなった母親を介護する、いわゆるヤングケアラーの実際と苦悩そして心温まる愛情を描いた物語です。
90メートルの意味は
母親の藤村美咲(菅野美穂)は、1階の部屋のベッドで過ごしていますが、息子の藤村佑(山時聡真)は2階の部屋で過ごしています。
美咲がトイレなどの用事で佑を呼ぶときは、呼び鈴で呼びます。
その呼び鈴の音が鳴る範囲は90メートルです。
そして物語の最後に、佑が母を残して東京へ旅立ちますが、その時に鳴るはずもない呼び鈴も、一緒に持っていきます。
それが母と子の愛情の絆になっていることから、90メートルというタイトルになっています。
主題歌「0.2mm」の意味は?
Mrs.GREEN APPLEのボーカル、大森元貴がソロ楽曲として発表した曲です。
インタビューでこの曲のタイトルの0.2mmは卵子の大きさを表しているようです。
つまり人としての始まりであり、ここから人との絆を紡いでいく出発点を象徴しています。
そして聴いてみると、とても身近な人を想う繊細さがにじみ出ているような曲になっています。
それでは「90メートル」を紹介したいと思います。
「90メートル」ネタバレ
高校2年生の藤村佑はバスケット部の中心的存在でした。
しかし、佑の母親はALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病を患い、介護をしなければ生きていけません。
いわゆるヤングケアラーでした。
佑が2階で勉強中でも、就寝中でも1階の母親からの呼び鈴で呼ばれ、食事やトイレなどの解除をしていました。
佑は母親を介護しながらも高校に通いますが、部活動が負担になり、バスケ部を辞めてしまいます。
そして高校3年生になってからも、佑は介護の負担が続き、自分の将来が描けないでいました。
また佑は食事を母親に作りますが、「じゃがいもが固い」など文句を言われることが多く、介護ストレスでついつい母親に八つ当たりすることもありました。
そんな中で、ケアマネージャーの下村香織(西野七瀬)は訪問介護スタッフを増員できるようになったことを佑に伝え、大学への入学試験を受ける環境が整うことができました。
また高校の教師からは、自己推薦を提案し、それには親の介護のことをプラスにできることを提案しました。
しかし、佑は母親との関係は、まだぎくしゃくしていました。
ある日、母親のベッドの下にノートが落ちていて、佑が拾ったら母親から自分の日記だから見ないでと釘をさされました。
また、その日記を介護スタッフが勝手に見ていたのを佑が見つけ、慌てて閉じたところを見て、ケアマネージャーの下村に通報し、担当の介護職員をクビするように言いました。
下村はもしかしたら誤解かもしれないからよく調べておく、と少し濁した口調で佑に言いました。
佑は教師の勧めで、ついに東京の大学に自己推薦を受けることを決めました。
そしてバスケのマネージャーの松田杏花(南琴奈)の誘いで、辞めたバスケ部の仲間との写真に掲載されることになりました。
そして突然辞めたことに対しての部員との蟠りも無くなりました。
そんな中、母親の容態も徐々に悪化し、ついに自発的に呼吸が難しい段階になり、人工呼吸器をつけるか判断する段階になりました。
自宅で母親の美咲は医師との面談で治療方針について相談します。
ALSは徐々に筋力が低下し、呼吸もできなくなる病気なので、将来的にも人口呼吸器をつけなければ生きてけません。
しかし、つけても筋力は低下するので、息以外何もできなくなります。
母親はそこで人口呼吸器をつけないことを決心しました。
つまり延命は望まないということでした。
それはこれ以上佑に迷惑をかけたくないという親心からでした。
そして陰で聞いてしまった佑はショックを受け、家から飛び出します。
それを見た下村は、佑を追いかけて捕まえ、美咲の決断を尊重してほしいとお願いします。
しかし佑は、自分が東京に行ったら、そのまま会えずに母が死んでしまうことで猛烈に悲しみが襲ってきていたのでした。
それでも下村は母親の佑の希望に向かって進んでほしいという願いを伝え、佑は東京へ行くことを決心しました。
そして東京の大学で自己推薦の面接試験があり、見事に合格しました。
3月になり、佑が東京への出発する日は、自宅にケアマネの下村をはじめ、介護スタッフが総出で出迎えてくれました。
そして下村から1冊のノートを佑に手渡しました。
それは母親が自分の日記だから見るなと言っていたノートでした。
佑は驚き中身を見ると、それは日記ではなく、佑のための手書きの料理のレシピでした。
母親の美咲は料理が得意でない佑のために、1ページの1品づつレシピを書いていました。
そして自分で書けなくなったら、介護スタッフに代筆を頼み、ノート1冊びっしりと書き込まれていました。
佑は涙ながらになぜ母は自分に言ってくれなかったのか、下村に尋ねたら「また怒られるから」ということでした。
そして佑は東京に引っ越し、荷物の中に鳴るはずもない呼び鈴を見つけると、それだけで母との絆を感じていました。
最後は非常に母と子の愛情を感じる情景で物語は終わりました。
ヤングケアラーの実態
厚労省の調べでは、ヤングケアラーは中高生の17人に1人の割合で存在しているようです。
そして問題なのは誰にも相談できずに孤立する場合が多いということです。
介護で時間をついやすので、当然学業の不振や、寝不足、疲労、将来への不安等に陥ります。
自分にも経験があるのですが、介護に時間を取られると、友達との付き合いも無くなっていきます。
そして親戚といっても、気にかけてくれる程度で、助けてくれるわけでもありません。
同世代の人たちが楽しそうに遊んでいたり、デートしたことを聞くだけでも、自分とは違う世界だと自分自身に嫌悪してしまいます。
現在では少子高齢化がますます進んでいるので、このような若い世代が増えてきてることがとても危惧されます。
まとめ
今回は、ヤングケアラーで将来を悩んでいた佑が周りのサポートにもより、大学進学という道を切り開いた物語でした。
しかし、このように将来の展望が開かれる人はまだまだ限られた人だと思われれます。
実際には、介護の問題で自分の夢をあきらめていかなければならない若い人も多く存在しています。
日本が元気になるためにも、若い世代の人たちの介護の負担を軽くするような施策を、是非とも行政にお願いしたいと思います。
今日はここまでです。ではまた。


コメント