「白い巨塔」は山崎豊子の原作で有名な作品ですが、1978年に田宮二郎が財前五郎役でドラマで放映されてから、何回もリメイクされています。
一番人気だったのが、2003年に放送された唐沢寿明が財前五郎役のドラマだったのではないでしょうか。
まぜ「白い巨塔」が強烈なインパクトがあるのか検証します。
長い間再放送ができなかった理由
2003年放送の唐沢寿明の時は、患者の佐々木庸平役の息子役の中村俊太が大麻所持の容疑で捕まり、そのせいで長い間、再放送は見送られました。
しかしここ数年で、漸くNetflixなどで放送されるようになりましたので、多くの人はとても待ち望んでいたことと思います。
医療コンプライアンスの問題
今回は、唐沢寿明が主演した白い巨塔をご紹介していますが、特にこのドラマでは医師としての倫理観の問題で、放送にふさわしいか問われていたと思われます。
今でこそ診療の場では、インフォームドコンセント(説明と同意)という概念が定着してきていますが、2003年当時では、その言葉はあったものの、まだまだ医師の立場が強く、患者は逆らえない風潮があったと思われます。
象徴的シーンは、唐沢寿明が演じる財前が、教授になった後の回診場面では、若い医師を引き連れて、まるで大名行列のように廊下を歩き、財前が患者の部屋に入ると、患者は財前の前で、ベッドの上で正座をしたり、腫れ物に触るような態度を取ったりして、近寄りがたい雰囲気を醸し出していました。
また患者の佐々木庸平は、肺がんが見つかったのですが、佐々木側が手術以外での治療を訪ねますが、財前は手術以外に選択肢はないと患者に迫り、強引に手術に同意させます。
これはあくまでも私の推測ですが、今現在このドラマを放映しますと、倫理的にクレーム問題に発展する可能性があったからと推測します。
東も財前に対する心境の変化を考察
東教授は教授選前までは財前を心から嫌っていました。
東教授時代の財前への気持ちは、優秀な外科医として次々とオペを成功して名声を上げている財前にたいしての強い嫉妬と、言葉の端々に東を馬鹿にしているように聞こえる言動に対して嫌悪感をもっていました。
その為、東教授は他大学から医師を教授候補として推薦し、財前と闘う決意をしました。
教授選までの東教授は、財前から何か話をもってくるたびに、嫌味をいう本当に器の小さい人物像に映りました。
例えば東は自分が知らないところで、財前が勝手にオペをしたことに対して査問をしようとしたり、財前が手術が失敗しそうになっても、奇跡的に助かったことに対して舌打ちすることなど、特に財前への敵対心が強かったことが印象に残ります。
そして決定的なのが、教授選が始まると自ら投票を辞退するという演技までして、財前に票が集まらないように画策した行為には、もうこれ以上お互いに理解しあえることはないと感じてしまいました。
しかし、東が教授選で敗れた後は、心境が著しく変わります。
東は「財前君には手を差し伸べるつもりだ」と急に接近しようとします。
また財前の裁判が始まると、原告側の証言に立つように関口弁護士からお願いされても「財前君は私が育てた素晴らしい外科医だ」と財前を持ち上げ、一度は原告側の証言を辞退しました。
私の考察ですが、東の財前への想いの変化は、東自身が教授選で敗れたことによって、今まで教授という鎖で縛られた重圧から解放されて、初めて一人の人間として精神的に解放され、周りを客観的にみれるようになったため、財前への想いに変化があったのではないかと推測します。
つまり、東自身が精神的に成長して、客観的に財前を見れるようになったため、財前の外科としての実力を初めて認めることができたのではないかと考えます。
東は教授選のときは財前は自分の敵としか見えなかったのですが、財前が教授になってからは、まるで父親が子供を見守るような感覚で財前を見ていたのではないかと思います。
最後は財前と東はお互いに謝罪することはありませんでしたが、財前は東に対して自分の手術を依頼しましたし、東は快く引き受けました。
また手術後も東は財前の経過処置で献身的に対応しましたし、財前もそれを快く受け入れました。
このやりとりを見ると、二人は確かに骨肉の争いを実施していましたが、晩年の財前と東の関係は言葉を発さずともお互いの高い信頼を感じずにはいられませんでした。
悪役の財前はなぜ多くの人々の共感を呼ぶのか?
財前自体は、初めからとても野心家で、他の人を蹴落としてでも偉くなることを目標としていました。
そして教授になったから、さらに周りに対しての威圧感や患者に対しての横柄さが顕著に現れます。
現に他教授からはその勝ちすぎる野心に対して、強い嫌悪感をもっている人も少なくありませんでした。
患者のことよりも出世のことしか頭にないような財前に対して、嫌悪感をもつことは決して不思議ではありません。
しかし病気で財前が息を引き取るシーンでは、涙する人も多かったのではないかと思います。
その理由として、財前は態度自体とても横暴でありましたが、その根底にあるのは、純粋に医療を高い水準に求めたいという思いで、その水準に達するために周りには厳しく接していたということです。
財前は、小さいころから立派な医者になりたいという目標があり、そのため一生懸命勉強していいたとお母さんは言っていました。
そのため人より勉強はできるようになりましたが、逆に人とのコミュニケーションの取り方がわからないまま大人になってしまっため、いつも人間関係がぎくしゃくしたものになってしまったのではないかと考えます。
財前はいつしか高い医療水準でしか物事を図れなくなっており、自分より少しでも劣っていると感じた場合、相手にとってどうしても鼻につくような言動になってしまうのではないかと考察します。
そのため東教授に対しても、財前にとってはなんでもない言葉のつもりでも、馬鹿にされたような感じに受けとめたのではないかと思われます。
その財前は周りからの軋轢を感じながらも、純粋に医療水準を最高にしようと努力したにもかかわらず、最後は病気で夢半ばであきらめなければなりませんでした。
最後は息を引き取る間際に、親友の里見から手を握りながら、「二人で最高の病院をつくろう」と言って涙を流しながら息を引き取りました。
この財前の届かなかった無念な気持ちに同調して、多くの人が感銘を受けたのではないかと考えます。
まとめ
以上が話の流れになりますが、あれだけヒールだった財前に対して、最後には視聴者の多くが涙したのではないかと思います。
他の白い巨塔シリーズではそんな感情はありませんでした。
そこは唐沢寿明の演技のセンスだったのかなと思います。
「白い巨塔」をまだ見たことがない人は、山崎豊子の最高傑作の一つだと思いますので、一度は見ることをお勧めします。
今日はここまでです。ではまた・・
山崎豊子シリーズもご覧ください
山崎豊子シリーズ




コメント
大麻で逮捕されたのは田山涼成さんではありません
田山さんの息子役をした中村俊太さんです
少し調べれば簡単に分かることです
田山涼成さんに失礼ですよ!
早く訂正と謝罪を掲載してください。
ご指摘ありがとうございます。
速やかに訂正いたします。