華麗なる一族というドラマをご存じでしょうか?年末年始で一気見するならおすすめしたいのでご紹介します。
これは作家、山崎豊子さんの代表作です。ドラマでは2007年、TBSで木村拓哉(万表鉄平)さん、そのお父さんとして北大路欣也(万俵大介)さんが出演されています。
2021年ではWOWWOW開局30周年記念番組として向井理(万俵鉄平)さん、中井貴一(万俵大介)さんが出演されています。
2作とも原作と大きく異なることは無かったのですが、役者さんの演技の方向性といえばいいのか、見終わった後の受ける印象が大きく違いました。
配役から見えるドラマの人物像の違い
2007年に放送された華麗なる一族は父親の万俵大介は北大路欣也、そして長男の鉄平は木村拓哉が演じていました。
大介役の北大路欣也と鉄平役のキムタクとのタッグの特徴は、息子を愛したくても愛することができない父親と、父親から愛されたくて認められたいという思いがありながら、いつも父親から冷たく突き放されてしまう息子との親子の葛藤が中心で描かれています。
北大路欣也が演じた大介は、息子を愛そうともそれができなかった自分の器の小ささを、自分自身嫌悪しながらも、それでも自分の野望のため息子を切り捨てる選択をしていく芯の強さをもっています。
そして鉄平役のキムタクは小さい時から何でもできて、自力で東大へ行き、そこで学んだ物つくりを究めるためマサチューセッツ工科大学へ留学するほどのエリートであり、いつも弟の銀平が羨ましがっているような人柄でした。
しかしそれは鉄平の父親から認められたいために努力した、鉄平の魂の叫びでもありました。
そのような背景があるため、最後に鉄平が自死したあと、鉄平が自分の本当の息子であることが解ると、大介自身の鉄平に対しての疑念が過ちだったことに対して、大きな後悔をすることになります。
この光景を見ると、大介に対してのヒールのような感情というよりは、鉄平が死ぬことにより漸く親子が解りあえたことへの感動の方が大きくなったと感じた人も多かったのではないかと考えます。
一方、中井貴一の大介役はどこまでも冷静沈着でそれは息子いえども妥協は許さない、心の底から冷たさを醸し出している役柄でした。
そして鉄平役の向井理は、エリートではありますがボンボンであり、世間知らずな一面がある役柄であり、大介が鉄平の会社を潰そうとしてもそれに抗うことができず、結局父親から無残にも破滅させられました。
2作とも原作からは話に大きな違いはありませんが、脚本家によるのかあるいは出演者のその人物像に対する演技によるものなのかわかりませんが、見た後の印象が大きく異なります。
キムタク×北大路欣也と向井理×中井貴一の違い
この”華麗なる一族”の見どころは、なんといっても万俵大介(父親)と、万俵鉄平(長男)との確執による対立であると思います。
親でありながら、長男を愛することができない複雑な感情を持つ父親と、親に愛されたくても愛されない、満たされない思いを抱いている長男が、激しくぶつかるシーンは、見ていて心を揺さぶられます。
そのような情景がすごくうまく表現されていたのが、上記のことからキムタクの万俵鉄平役と北大路欣也の万俵大介役のやりとりだと思われます。
例えば、鉄平(キムタク)の感情が爆発するような想いを、大介(北大路欣也)にぶつける展開が何回もありますが、大介は其のたびに目にいっぱいの涙をためて、冷たく否定します。
そのお互いの交わることのない感情のすれ違いは、見ているこちらも胸が熱くなりました。
それに対して、中井貴一の演じる大介は、どこまでも冷静沈着です。
中井貴一の大介は銀行を守るためなら親子だろうが、とことん非情に徹している印象があります。
鉄平(向井理)がボンボンであるため、経理のことはあまり知らないことに付け込んで、大介が阪神特殊製鋼を破綻に追い込みます。
そのような姿勢は、いくら過去のいきさつがあるとはいえ、背筋が寒くなるような冷たさを醸し出しています。
つまり北小路欣也の大介は鉄平を愛そうとしても、それができなかった心の葛藤がとても上手く表現されていますが、中井貴一の大介は鉄平に対しては、祖父への強い憎悪から、それと印象が重なる鉄平に対しては、全く受け付けられない存在として捕らえていたので、寒気がするほどの非常な扱いに徹していました。
この二つの作品は、同じ「華麗なる一族」でも視聴して受ける印象は、それぞれ違うものになると思われます。
大介が鉄平の命を奪ってでも野望を優先した理由は?
結局2作品とも原作と同じ、大介が銀行を合併するために、鉄平の命が犠牲になってしまいました。
これはキムタクと北大路欣也の「華麗なる一族」で、最後の会話で述べられています。
それは鉄平は「僕がおじいさんの子供でなければこんな争いはなかったですよね」とそれに対して大介は「これが俺とお前の宿命だ」と返しています。
大介は鉄平をおじいさんが嫁を襲って腹ませた子と思い込んでおり、大介にとって鉄平の祖父は許しがたい存在でした。
鉄平にはもちろん罪はないのですが、日に日にどんどんおじいさんに似てくる鉄平に対しても憎悪を持ってしまったということだと考えます。
そのため、いつもおじいさんの忌まわしい影を取り払うために、おじいさんが作り上げた銀行をもっと大きくしたいと渇望し、そして同じくおじいさんがつくった阪神特殊製鋼を無くして過去の忌まわしい出来事を払拭したいと考えたのではないかと推測します。
キャストの比較
2007年のキャストは万俵家は父親大介(北大路欣也)、長男鉄平(木村拓哉)、次男銀平(山本耕史)、長女の一子(吹石一恵)、次女の二子(相武紗季)、一子の夫で大蔵省のエリート(仲村トオル)です。
それに対し、2021年は大介(中井貴一)、鉄平(向井理)、銀平(藤ヶ谷大輔)、一子(美村理江)、二子(松本穂香)、三子(福本莉子)、一子の夫(要淳)、高須相子(内田有紀)、鉄平の妻(笹本玲奈)等とこちらも負けずに曹操たるメンバーが集っています。
大介、鉄平以外でも役者によっては個性が感じられる場面も多いので、見比べるのも面白いです。
なぜ同じ原作なのに大介の印象がこれほど違いがあるのか?
もちろん監督によって個性がでるので、作品として違う印象になることはよくあると思います。
原作に忠実なのはどちらかといえば、中井貴一の大介だと思います。
2021年版の「華麗なる一族」では全体的に原作に非常に忠実に作られている印象がありました。
実の息子ではないと思われていた鉄平(向井理)に対する以上なまでの冷たさも原作通りのイメージがあります。
一方、北大路欣也の大介は、監督の意向なのかあるいは北大路欣也そしてキムタクも含めて、大介という人物像をこの作品のために練り上げたと考えています。
たしかに鉄平(キムタク)への冷たさは一貫していますが、それでもどこか切っても切れない複雑な感情が絡み合っているような演技を見ると、北大路欣也とキムタクの相性の良さがとても感じました。
まとめ
今回の華麗なる一族対決では、2007年版の大介(北大路欣也)が鉄平(木村拓哉)に対して、愛そうとしてもできなかった、心の葛藤が描き出されています。
2021年版では、大介(中井貴一)が鉄平(向井理)に対して、親子としての感情は持ち合わせていないような、冷徹な仕打ちをしていく様が描かれています。
どちらも、とても見ごたえがあるドラマでした。ただ私なりの見解を申しますと、キムタクと北大路欣也のほうが感情移入がしやすかったです。
しかし印象は人それぞれなので、あくまでも参考程度として認識していただければと思います。どちらも大変おもしろかったので、時間がある人は、見比べてもおもしろいと思います。
今日はこれで終わりにしたいと思います。それではまた・・
山崎豊子シリーズもご覧ください。
山崎豊子シリーズ




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