これは作家、東野圭吾の作品であり、初のアニメ化になります。
東野圭吾といえばミステリー作家なので、ミステリーを期待してしまいますが、ファンタジー要素があるヒューマン的な映画という感じでしょうか。
ファンタジーなのでアニメ化したということでしょうが、主人公の直井玲斗は、お母さんがホステスで働いた時の愛人で生まれたこどもであり、仕事をクビになってその腹いせで、会社に盗みで押し入り、窃盗で捕まった人物です。
またお母さんが死んであと、会ったこともない叔母に引き取られますが、叔母もクスノキの番人の継承や会社経営などで悩みをかかえています。
主人公の二人でも複雑ですが、他の登場人物も家庭問題などを抱えている人ばかりです。
正直アニメだからと言って、内容は子供向けではありません。
このようなどろどろした話なので、最初アニメになると聞いて、「えっ、まじっ」て感じです。
つまらない理由のとして大きく3つあげられます。
1つめ 叔母の千舟は、直井玲斗に対して生まれて会ったことがないにもかかわらず、やけに上から目線で対応します。正直ちょっとイラッとします
2つめ 千舟は玲斗にクスノキの番人を任せますが、その割には全く理由について話そうとしません。正直大きな理由はありませんでしたが、それを中盤まで引っ張られます。
3つめ 登場人物が皆、複雑な家庭環境をもっていて、アニメで放映していいのかと疑問を持ってしまいます。
ただ小説としてはさすがに東野圭吾だと思えるほど完成度が高い作品です。
主人公には何も教えない叔母の態度は?
最初に述べた通り、主人公の直井玲人は、会社の備品を盗み出すいわゆる窃盗でつかまった人です。
たとえ会社から屈辱を受けたとしても、窃盗をしたような人が主人公というのはアニメの主人公のキャラとして相応しいのかと思います。
物語の全般を読むと、東野圭吾らしいサスペンス要素満載でしたが、そうである以上アニメでなくても実写の方が、この物語が生かされたのではないかと思われます。
そして玲斗の叔母である千舟の存在です。
玲斗は今まで会ったことはないわりに、最初から作法や言葉使いを注意されまくります。
母親でも無く、いきなり出てきた叔母に言われるのも大きなお世話だと思えます。
千舟は金持ちであり、玲斗の借金を肩代わりする代わりに、クスノキの番人になることを条件としました。
しかし千舟はクスノキの番人はどういう役割なのかなどは一切話してくれませんし、そのクスノキは何のために番人が必要なのかなどクスノキにまつわることは一切教えてくれません。
玲斗は千舟に聞きますが、そのうちに理解できますと言って、口を閉ざします。
千舟は玲斗にクスノキの番人に任命しておきながら、その詳細を一切話さないことと、玲斗に対しての上から目線での物言いや、ところどころ礼儀作法を注意するのですが、会ったこともない人になぜそんなこと言われなければいけないのかと自分なら思ってしまうのですが、そのイライラ感を中盤まで引きづります。
しかし佐治家親子に会ってから、やっと事態は進展します。
佐治優実に暴挙よりやっと事実を理解
いつも祈祷に訪れている佐治寿明を優実がこっそり後をつけているのを玲斗が見つけて、あれだけ叔母に見てはいけないと念を押された掟を破って、二人でこっそり祈祷しているところを見てしまったことによって、ようやくクスノキの秘密を知ることになりました。
しかし、この事実を知ったからと言って、別に呪いがかかるわけでもなく、クスノキからの声が聞こえなくなるわけでもないのに、叔母がクスノキの秘密を玲斗に頑なに言わなかった理由がわからなかったです。
逆に優実の暴挙がなければ永遠に事実を知らずに、ただただクスノキの番人をしていることになっていました。
叔母は玲斗に当初は「いずれ解る」といっていましたが、何を根拠にそんなことが言えたんだろうと思ってしまいました。
死んだ佐治寿明の兄が残したメロディーがクスノキに遺されていて、それを受け取った寿明が認知症の母親に届ける話だったのですが、最後は母親が兄の作ったメロディーということを理解され、涙を流したという感情をゆさぶるものではあります。
ここで千舟は、玲斗に「理解できたようですね」といっていましたが、上記のように優美の暴挙がなければ、クスノキの秘密もわからなかったわけで、私はどうしても解せない感情がありました。
大場家の相続問題を強引に解決
大場壮貴の跡取り問題で毎回祈祷にきていましたが、この人は父親の子ではなく、母とまだ結婚する前に付き合っていた人との子でした。
つまり父親との血のつながりがないため、永遠に遺言は受け取れないのですが、玲斗から祈念を聞いたふりをして、自信を持って社員に伝えればいいと強引に推し進めてしまいました。
会社を左右する経営方針をそんなやり方で良かったんだろうかと思います。
会社の人と一緒にこんなところに連れてこられて、亡くなった父親の言葉を祈念するように促されているよう人すなわちクスノキからの受念任せの人が、会社から信頼されているとは到底思えません。
本当に跡取りとして期待されているなら、クスノキに頼らなくても、最初から自分の言葉で伝えることができるはずです。
私的には、結果的にうまくいったから良いものの、嘘を押し切ってしまうのもどうかと思いますし、この話も不倫がでてきますので、こんなにどろどろした家庭環境を、アニメ化にするのもどうなんだろうと複雑な感情をもってしまいます。
玲斗の人間としての成長
前半から中盤の千舟の玲斗への対応は、それなないだろという気持ちが大きかったのですが、最終局面では印象ががらりと変わります。
玲斗はクスノキの授念により千舟の会社への想いやまた千舟が認知症に患っていることも知ってしまいます。
そして千舟が遠い所へ行って死のうとしていることも玲斗は感じ取っていました。
玲斗は千舟に絶対に生きててほしいと懇願する姿に、千舟が今まで厳しく言ってきた玲斗に対して、初めていい子に育ったと褒めます。
お互い初めて会ったときは、千舟は玲斗をしょうがない男だという印象を持っていたように思えます。
しかし玲斗がクスノキの番人になって、いろいろなことを経験することによって、人の気持ちが理解できるようになり、人間として成長したと千舟は感じ取っているようでした。
さらに千舟は自分が病気になり気持ち的に弱ったところを、玲斗から逆に励ましてくれるその姿に、最後はとてもたくましく感じたのではないでしょうか。
このストーリーはサスペンスであり、クスノキを中心に物語が進みますが、最初は人間のクズのような存在だった直井玲斗が、クスノキに祈念している人々を通して精神的に成長し、最後は叔母を救うほどになった玲斗の成長の記録の物語だと思います。
まとめ
このように最後は心温まる話で終わっています。
小説を読むに関してはさすが東野圭吾であり感動の大作と言えます。
問題はこれをアニメ化した場合、どう表現するのかということです。
物語の登場人物も、最初に話した玲斗は窃盗という犯罪を犯していますし、またクスノキに祈念している人の中には、父親の浮気相手の子だったりして、少し生々しい話が多いので、アニメではなく実写の方が向いているのではないかと思いました。
皆様はいかがでしょうか。
今日はここまでです。ではまた


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