「国宝」歌舞伎の実力は世襲か演技力か? 最後の紙吹雪で喜久雄が綺麗と言った理由を考察

ヒューマンドラマ

大ヒットした「国宝」がいよいよアマプラで独占配信しました。

映画では歌舞伎に今まで興味が無かった人にも解りやすく作られていて、本物の歌舞伎を見に行く人も多くなったようですね。

この映画は、世襲として歌舞伎スターの花井半二郎の息子の俊介とヤクザから拾われた喜久雄との相続が見ものでした。

実際の歌舞伎界では世襲と演技力のどちらが重宝されるのか検証したいと思います。

歌舞伎界の実力は世襲か演技力か?

実際には世襲は圧倒的な力を持ちます。

しかし歌舞伎の世界ではそれだけで生きて行けるほどあまいものではありません。

たしかに家柄で襲名することは多いですが、歌舞伎の観客は目が肥えているので、演技力がなければいくら世襲とはいえ認められません。

そのため観客が減ることもあり得ます。

そしていくら世襲で襲名しても、厳しい稽古でお客を納得させるだけの演技力をつけなければなりません。

つまり短期的には世襲で生きていけますが、長期的には高い演技力が必要で相互で融合することが求められます。

しかし、基本的に世襲が必要とはいえ、一般家庭から弟子入りしトップになった人も実際に存在します。

例えば藤原紀香の夫の片岡愛之助や市川笑三郎など、数多くの人がいらっしゃいます。

最後の紙吹雪で喜久雄が綺麗と言った理由

国宝のラスト、人間国宝になった喜久雄の演目が鷺娘でした。

この話は白鷺が人間に恋をして、女性に姿を変えて一途な恋をするもそれが叶わず、雪の中狂うように舞います。

そして最後、白鷺は力尽きて雪の中死んでしまうという、とても幻想的な演目で知られています。

人間国宝になった喜久雄はインタビューで「見えなかった風景が見たい」とまたそれが何かは「うまく表現できない」と言っていました。

そして喜久雄は鷺娘を踊っている最中、紙吹雪の向こうのスポットライトを見て「綺麗」とつぶやきます。

ここで良く対比されるのが、冒頭であったヤクザの抗争のときも雪が舞う中であったため、父親が殺された情景を想い起こす人が多いと思いますが、私は違うと思いました。

その理由は、誰でも自分の親が殺されるのを目にして、そんなつらい過去は誰も思い返したくないと思うはずです。

もしあの紙吹雪のなか、父親のことを思い出すならば、あのときの気持ちは「綺麗」ではなく、「憎い」あるいは「許さない」といった感情が来るはずです。

喜久雄の入門当時、初めて人間国宝の鷺娘の踊りを観て「綺麗だ」と、とても感動していました。

月日が経ち、今度は喜久雄自身が人間国宝になり、そして国宝になって初めてあの時感動した鷺娘の踊りを自分が踊ることにより、紙吹雪の中その向こうのスポットライトを浴びる自分が、当初人間国宝が踊った鷺娘と重なったため、、綺麗と表現したと考えています。

この時に喜久雄は初めて人間国宝になったことを実感したのではないでしょうか。

劇中で観られた演目を紹介

次に鷺娘以外の映画で披露された、演目を紹介します

曽根崎心中

この演目は、映画では花井半二郎(渡辺謙)のけがのため、代役として立花喜久雄(吉沢亮)がお初を演じました。

また大垣俊介(横浜流星)も糖尿病で足の切断後、喜久雄との共演でお初を演じています。

この話は醬油屋のせがれ、徳兵衛が遊女のお初と恋に落ちます。

しかし徳兵衛の叔父や継母はそれを心良く思っていません。

叔父は徳兵衛に他の女性を紹介し、また継母は勝手に結納金まで受け取ります。

徳兵衛はその縁談を断り、結納金を返そうとします。

その途中に親友の九平治から、借金を返すためにお金がいるとうことで、徳兵衛はその結納金を貸してしまいます。

後日、九平治にお金を返してもらおうとするも、九平治はそれは事実無根と訴え、徳兵衛を窮地に立たせます。

お初と徳兵衛は事実を掴むため、お初の店の縁の下に徳兵衛が隠れて、お初が九平治と密会した時に、九平治から徳兵衛を騙してやったと告白しました。

それを縁の下で聞いていた徳兵衛は悲しみのあまり、お初の足にしがみ付いたということでした。

結局、世間の信用を失った徳兵衛はお初とともに、曽根崎の森で心中してしまうという悲しい結末です。

喜久雄の徳兵衛や俊介のお初も、あの縁の下での絶望に際悩まれながら足にしがみつく演技は圧巻でしたね。

二人藤娘

普段は一人で踊る藤娘を、二人の藤野の精で鮮やかに踊るのが特徴です。

この映画の場合、俊介と喜久雄が踊りながら何度も衣装が華やかに変わる姿が印象的です。

これも一人の男を想う恋心を表現した踊りです。

二人道成寺

これも普通は一人で踊るものですが、人気役者が二人で共演して、芸を競うある側面もあるようです。

大きな鐘に登っていく演技が特徴的で、最後鐘に飛び込み大蛇になるという大掛かりな設定のようです。

まとめ

「国宝」は興行収入が200億円を突破し、日本の映画市場で歴代1位になりました。

この映画の登場で、歌舞伎というものがどこか遠い存在であったもの、が近くに感じることができるようになりました。

映画だけでなく、歌舞伎への来場者数もいい影響を及ぼしているようです。

日本の伝統は素晴らしいものが多いですし、これからも未来永劫残していただきたいと思います。

今日はここまでです。ではまた。

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