山崎豊子「不毛地帯」壱岐正の生き方と人間ドラマを考察/なぜ戦い続けなければならなかったのか?

これは山崎豊子原作であり、沈まぬ太陽、華麗なる一族、白い巨塔と並んで有名ですね。

1976年に仲代達也さん主演した方もいい作品でしたが、2009年にフジテレビで放映された、唐沢寿明さん主演ドラマの方が私は印象が深いです。

2クールに跨りましたが、たいへん面白いドラマでした。

しかし視聴率は芳しくはなかったようです。

理由はさまざま言われていますが、年末年始にかかってしまい、放送が少し間が空いたことも要因の一つかもしれません。

それでも不毛地帯が面白いと言われる理由は?

それでも私は山崎豊子の原作の中では、「沈まぬ太陽」、「白い巨塔」、「華麗なる一族」と並んでとても傑作だったと思っています。

シベリアへの抑留が影響したものとは?

壱岐は戦後、ソ連に捕まり、シベリアで11年間抑留されてしまいます。

そして運よく日本へ生きて帰ることができましたが、壱岐の胸に去来したものは苦労をかけた妻や子供たちへの申し訳なさだっとと思われます。

そして以前から依頼があった近畿商事の大門社長にあり、未経験ながら商社マンとして働きます。

私の考えでは、壱岐の心境は、苦労をかけた家族に対して二度と戦争で家族が離れ離れにならないようにするために、未経験ながら軍とは関係ない商社に身を置く決心をしたと考えています。

しかし安定を期待していた家族は、壱岐のサラリーマンに身を置きながらも、元軍人ととしての魂に火が付いてしまい、ひやひやすることになります。

壱岐正がなぜ戦い続けたのか?

壱岐はシベリアでの抑留後、商社に入社して次々と事業に成功しますが、その中では親友の自死や部下の逮捕、社内のライバルを追い落とすなど犠牲も数知れません。

そんな犠牲を払いながらも壱岐は仕事に没頭し事業を拡大していきます。

最後は大門社長すら追い落とそうとしていると思われていました。

社内の壱岐の功績を妬む者には、壱岐のことを出世に駆られた欲深い輩と思っていたいたかもしれません。

しかし、私は壱岐自身は出世のことは眼中になかったと考えています。

確かに壱岐は副社長まで上り詰め、ライバルの里井副社長を自分の目的の妨げになるからと大門に直談判して追い出します。

しかし壱岐の本当の目的は、戦争をしない方法で日本を平和に導くことだったと考えています。

壱岐は太平洋戦争では上層部にいましたが、日本は石油の輸送を抑えられたため、戦争に突入して大きな敗戦を経験したことで、壱岐はその責任を大きく痛感していたことが伺えます。

そのため壱岐は日本の商社に身を置くことによって、戦争で奪う形ではなく、平和的に解決することによって日本へ利益をもたらそうと考えていました。

壱岐にとっては出世はあくまでも自分の日本への対して平和をもたらすための行いの結果、周りからの評価によって与えられたものであり、壱岐にとっての出世はあくまでも副次的なものでありました。

それが解るのがイランの石油開発で、積極派の壱岐と消極派の里見で会議で対立した時に、壱岐の発した発言で「かつて戦争で得ようとした石油を平和的な活動で得ようとしているのです!」と里見を論破した言葉に集約されています。

結果的に苦労の末、石油を日本にもたらすことに成功した壱岐は、社長になってほしいという声もありましたが、潔く社会人から身を引きます。

「不毛地帯」はなぜ胸を打つのか?

このドラマでの見どころは何といっても東京商事の鮫島との対決です。

鮫島は壱岐をライバル視し、近畿商事のどのプロジェクトにも顔を出して奪おうと仕掛けていきます。

その熾烈な競争は、犯罪すれすれで死人が出るほど過酷なものでした。

今ではこんな働き方をすれば問題にはなりますが、仕事に対してここまで熱いドラマも珍しいと思いました。

若いサラリーマンに見てほしいドラマ

私はこのドラマを若いサラリーマンに見てほしいと思う理由は、働くということは本当に大変なことなんだよということです。

昔は今のようなコンプライアンスの概念はなかったため、パワハラがあたりまえの時代でした。

私も新入社員で入社したのは製薬会社でしたが、毎日上司から罵倒されていましたし、自宅に帰るのも毎日深夜になる状況で、残業も当り前の時代でした。

私は決してこの時代を良しとしているわけではなく、こういう時代を経て日本の企業は強くなったということは紛れもなく事実として存在しているということです。

実は私は、仕事で苦しい時にこの「不毛地帯」を見て頑張ろうと思ってる、つまり人生のバイブルになっています。

こういう話は若い世代では暑苦しいと思われるかもしれません。

しかし、会社というものは利益を上げなければ給料をもらうことはできません。

当り前の話ですが、利益を上げるということは他社に勝たなければならないですし、そこには相手に打ち勝つほどの知識と努力が必要でし、大きなストレスもかかります。

昭和の世代は、その強い精神力で世界の企業に打ち勝ち、当時の世界第二位の経済大国に押し上げたと思っています。

このドラマは、今の日本が忘れていた何かを持っていると思っていますし、特に若いサラリーマンの方には観ることによって何かを掴んでほしいと思っています。

モデルになった人物や会社は?

不毛地帯の近畿商事に関しては、伊藤忠商事がモデルと言われています。

そして壱岐正のモデルは伊藤忠商事の会長だった瀬島龍三さんと言われていて、また近畿商事の大門一三のモデルが伊藤忠商事の越後正一さんと言われています。

そのほか数多くの人がモデルになっているようです。

まとめ

今回は山崎豊子の傑作である「不毛地帯」を紹介しました。

若いサラリーマンの方にお勧めしたいといいましたが、それ以外の方でも楽しめるドラマです。

是非、近畿商事の壱岐と東京商事の鮫島によるはげしい攻防戦をご堪能ください。

今回は以上です。それではまた。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました