「月」障がい者と家族の苦悩と強度行動障害とは?

ヒューマンドラマ

この映画は2016年に相模原にある障がい者施設、津久井やまゆり園での事件をモチーフにした作品です。

この事件はある職員が、刃物で施設の入所者を次々と刺し、19名の死者そして職員を併せた26名の負傷者を出した凄惨なものでした。

このショッキングなニュースは全国でも大々的に報道され、障碍者施設の利用者への虐待が日常的に行われていたことが、明らかになりました。

この映画は、ある職員が利用者に対して、虐待そして事件へと発展していった、その深層心理を鋭く描写したものになっています。

もしご家族で障害を持っている方とか、このような映画が苦手の方は、見て気分を害することがあるかもしれません。

しかし、障がい者施設の実態や支援員の苦悩などはかなりリアルに描かれていますので、状況を知ってもらいたいとも思っています。

そのようなことを念頭にいれていただいて、視聴は自己責任でお願いしたいと思います。

強度行動障害とは

まず、強度行動障害とは何かの説明に入りたいと思います。

強度行動障害は、年齢問わず、自分で顔をたたいたり、噛みついたりして傷つける自傷や相手をたたいたり、殴ったりする他害、またテレビなど物を投げたり、壊したりする器物破損、そして弄便(便を弄ぶ)、異食(食べ物以外を口に入れる)など異常行動で普通の日常活動を送れないことを強度行動障害と呼ばれます。

この方々の殆どが、知的障害や自閉症スペクトラムの人たちです。

強度行動障害者支援のリアル

強度行動障害の人は、多くの人がコミュニケーションが取るのが苦手です。

そのため施設に入所していても、人の言葉が聞こえない、理解できないことが多いので、スタッフの中には、叩いたりして無理やり言うことをきかせるような、虐待の温床が以前は当たり前のように存在しました。

また以前では、部屋からでると問題行動を起こすような利用者は、カギを掛けて出られなくすることも普通に行われていました。

現在では虐待防止法も制定され、各施設も虐待を防止するための研修も充実してきているので、以前と比べて虐待防止の意識は高まってきたと思いますが、それでも尚、最近でも施設の虐待がニュースにでることがあるのが現状です。

一般的に、強度行動障害があって、施設を利用している人たちを利用者と呼びます。

そしてその利用者を世話するスタッフのことを生活支援員と呼ばれます。

強度行動障害の施設では、その生活支援員の苦労も絶えません。

利用者の状態は千差万別であり、一人一人において、支援の仕方が異なります。

その計画書を作るのがサービス管理責任者(サビ管)であり、支援員はサビ管の計画書のもと、利用者一人一人に合わせた支援をしていきます。

中には暴力的は利用者もいますので、その支援においては特に苦労をかけることになります。

また支援員同志や利用者に対しても、人間関係が他の業界と比べても密接に関係しており、ストレスやいじめといった問題も後を絶ちません。

そのため、支援員自体が病んでしまったり、辞めたりすることも多い過酷な現状があります。

それではこの映画「月」について紹介したいと思います。

映画「月」の紹介

堂島洋子(宮沢りえ)は、もと有名な作家でありますが、山の上の障がい者施設で働き始めました。

洋子は以前、東北の大震災をテーマに小説を書いて賞を取ったことがありましたが、それ以降は書くことができなくなったようでした。

また洋子には、心臓に障害を持った子供を産んだことがありましたが、すぐ死んでしまったことに対してのトラウマも引きずっているようでした。

その施設では支援員として坪内陽子(二階堂ふみ)やさとくん(磯村雄斗)ほか、先輩男性支援員二人と働くことになります。

同じ「ようこ」の名前でもあり、堂島洋子と坪内陽子はお互い親近感を覚えます。

ある日洋子は夜勤で、二人の男性支援員が、徘徊して言うことを聞けない利用者を叩いて部屋へ連れていきます。

洋子は「虐待では?」と聞きますと、男性支援は「こんなこと、ここではあたりまえですよ」と問題意識は全くありません。

またある日では、懐中電灯を利用者の目に当てて、「こうすると、てんかん発作を起こすから面白いですよ」と利用者を弄ぶような男性支援員に対して、洋子は嫌悪感を持ちます。

洋子は施設長に虐待があることを申し出ますが、それは虐待ではないと相手にしてくれませんでした。

そんな中、通称さとくんは絵が上手なこともあって、紙芝居を作ります。

その紙芝居を利用者たちに披露しますが、利用者には見えなかったり、理解できなかったりで反応は薄い状態でした。

それを見た男性支援員たちには、「こんな無駄なことをしやがって、仕事が増えたじゃねえか」とすこぶる評判が悪い状況でした。

しばらくして、洋子は仕職場に慣れてくると、陽子とさとくんを自宅に招きました。

4人で飲んでいる最中、陽子は洋子の東北大震災の小説を、「全部きれいごとで書いてあって、あんなのは真実ではない!にせものは嫌い」と作品に対して、異常に痛烈に批判します。

またさとくんは「死刑の時は窒息して死ぬんじゃなくて、頚椎が折れて死ぬんですよ、その時の音がすごいんです。」と人の死を楽しそうに話します。

そんな陽子やさとくんの様子を見て、洋子夫婦は二人の異様さを感じ取ります。

そしてさとくんは、先輩社員から「へらへらするな、お前も障がい者じゃねえのか」と頬を叩かれたり、絵を破られたりして、いじめられます。

次第にさとくんも精神が病んでいくのが、洋子からも見て取れるようになりました。

ある日、さとくんが夜勤の日、洋子が様子を見に来て話しかけます。

「最近何考えているの?」と。

さとくんは「ここの人たちは生きていても、何も役にたたないですよね。生きている価値はないからいなくなった方がいいですよね。」ととんでもないことをさらっと述べます。

更に「洋子さんも同じでしょ。あんな役に立たない人たちは生きていても迷惑かかるだけでしょ。」と同意を求めます。

この異常な発言に、洋子は「自分の子供も障害をもっていたが、死んだ方がいいなんておもったことはない」と涙ながらに考えを否定します。

それでもさとくんは「心臓病とはちがいますよ。あの人たちが生きていて、いったい誰が喜びますか?」「いなくなった方が国のためですよ」とあまりにも常軌を逸した発言に、洋子は精神病院への入院を施設長に提案します。

施設長の勧めで、さとくんは精神病院へ入院することになりました。

その後、数週間を経て退院しましたが、さとくんはすでに精神が壊れた状態でした。

そしてさとくんは、包丁や鎌を購入し、夜施設に潜り込みます。

さとくんは一部屋づつ入り「あなたは気持ちがありますか?」と確認し、返事がない利用者を「あなたは人間ではない」と言いながら、無表情のまま次々と刺していきます。

そして明け方まで利用者を刺し殺し、朝には警察や救急車が何十台も出動する大変な事態になってしまいました。

まとめ

実は私も現在、障がい者施設で働いています。

障がい者の人たちは、お世話すれば、言葉が出なくても一生懸命返してくれます。

気持ちは伝わるものなのです。

彼らは障害を持っていても、日々成長しようとしています。

そしてご家族は、そんな障害を持って生まれてしまったわが子に対して、人一倍愛情を注いでいることが多いです。

その背景には、自分のせいで障害を持ってしまったというトラウマがあり、わが子に対して申し訳ない気持ちが過分にあるようです。

支援員として、そんな利用者さんとご家族のためにも、日々の暮らしを少しでも支えていくことが支援員としてのやりがいだと思っています。

障害をもっている人や、そのご家族にもやさしい社会になりますよう祈りを込めて・・

今日はここまでです。 ではまた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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