これは湊かなえ原作の物語です。
それぞれ絵の才能がある美しい6人の若者の遺体が、標本にされて森で発見されるという衝撃的な展開から始まります。
6人の遺体の標本と蝶の意味
深沢蒼(松本玲生)
一人目の標本が深沢蒼。
蒼は、美しい青を基調とした絵が得意です。
しかし彼は綺麗な青には好意を持ちますが、汚い青だと自分が認識しているものにはひどく嫌悪いたします。
例えば、ホームレスのブルーシートで覆われた家を、汚いことを理由にライターで燃やします。
表面はとてもやさしそうですが、裏を持っている人物です。
蒼の標本(遺体)にはレテノールモルフォという、南米アマゾンで生息していて、モルフォチョウのなかでも特に輝きの強い翅を持ってるのが特徴の蝶です。
この蝶が飛んでいるだけで、周りの物が色あせるかのようです。
そのようなイメージが蒼に当てはまったから使われたと思われます。
石岡翔(黒崎煌代)
翔は6人の中でもやんちゃなタイプです。
大胆な色彩感覚は他の5人とは違ったセンスをもっています。
そんな翔でも、プライベートではコカイン等、薬物の常用者であり、類まれな絵の才能も、薬物の使用の上で発揮されていました。
そんな翔の標本(遺体)には、ヒューイットソンミイロタテハが添えられていました。
この蝶は南米でも最も美しい蝶の1つとされ、宝石のような鮮やかな色彩の翅をもっています。
しかしこの蝶は、幼虫の時から毒をもっていることが、翔のイメージに重なったと思われます。
赤羽輝(山中柔太郎)
輝の絵の特徴は鮮やかな赤色です。
しかし、ドラマのなかでも、2面性があるといっていました。
そんな輝の標本(遺体)にはアカネシロチウが添えられていました。
この蝶は表は地味ですが、裏が派手で、特に翅の中心がきれいな深紅で彩られています。
そんな輝のイメージに合ったのではないかと思われます。
白瀬透(荒木飛羽)
白瀬透は、白と黒の2色でしか色は判別できません。そのため、絵は水墨画で表現しています。
透はその境遇のためか、学生時代はいじめられてたようです。
母も病んでいて、透の目の前で服薬自殺してしまいます。
そんな透の標本(遺体)にはモンシロチョウが添えられていました。
この蝶自体、白の印象が強く、小さくてはかなくみえるので、透のイメージに合ったと思われます。
黒岩大(秋山郁甫)
黒岩大は、まるで新聞紙のように、白黒でインパクトのある風刺画が特徴です。
大自身は人気もありますが、女ったらしの側面もあります。
そんな大の標本(遺体)にはオオゴマダラが添えられていました。
この蝶は、翅が白い地で黒のまだら模様があります。
そしてこの蝶が飛んでいるときは、まるで新聞紙が風に乗っているかのようです。
そのイメージが大に合ったと思われます。
榊至(市川染五郎)
榊至は写真のような絵を描くことを得意としていますが、それに対して至は、他の5人に比べて劣等感をもっています。
父親想いのやさしい青年ですが、その反面恐ろしい秘密をかくしているので、その標本(遺体)には毒のあるオオベニモンアゲハと毒があるように見せるオオベニモンアゲハの擬態であるクロアゲハの2種類の蝶が添えてありました。
あらすじ(ネタバレ)
ある日、長野の山奥で、人が散歩していると森の中に6体の標本になった遺体が発見されました。
そして榊史郎が警察に、自分の子供を含めたあの6人の標本は自分が作ったと自首します。
警察からの取り調べで、史郎は自分がどうして標本を作ったのか語り始めます。
榊史郎の証言
榊史郎(西島秀俊)は有名な画家である榊一郎の子として生まれました。
榊一郎が記者会見で、人間標本を作りたいと発表してから、世間から冷たい視線を浴び、田舎の別荘で家族と暮らすことになりました。
その子供の時の史郎は、蝶に興味を持ち、採取し、また一郎のすすめで標本をも作ります。
そして蝶には四原色という特殊な目を持つことがわかり、蝶から見た花の絵を描くことが趣味でした。
一郎は、病気の友達の一ノ瀬佐和子ために絵を描き、それを本人含めた家族に見せました。
すると本人とその夫は喜んだのですが、子供の留美は少しもきれいじゃないと否定します。
そんな留美に史郎は自分が描いた、蝶から見た花の絵をプレゼントします。
留美は喜びましたが、これが榊史郎と一ノ瀬留美との出会いでした。
それから30年の月日がたち、史郎は大学教授で蝶の専門家になり、留美は蝶と同じような四原色の目をもつ有名な画家になりました。
留美は史郎の息子の榊至に、絵画合宿の参加を促します。
合宿場所は、かつて榊一郎の別荘で、留美が買い取ったというものでした。
合宿参加は深沢蒼、石岡翔、赤羽輝、白瀬透、黒岩大、榊徹の6人でした。
留美はその中でも特に才能がある人を後継者にするということで、自分の娘の杏奈をモデルにして描くように、競争を促します。
しかし、留美は重い病に倒れ、合宿は中止になり、治療のためアメリカへ帰りました。
史郎は合宿で観ていた5人の背中に、蝶の翅が生えているように見えて、衝動に駆られて殺害し、標本にしたと警察に供述しました。
そして自分の息子さえも、その衝動を抑えきれずに殺害し標本にしたと供述しました。
それを実行するため、人間標本という論文を作成し、その標本通りに作品をつくったとのことでした。
榊至の本当の姿
舞台が変わり、史郎から見た至の本当の姿が描かれます。
人間標本という論文は、本当は至が描いたものでした。
ある日、至が急に塾の合宿があると言って、出かけていきました。
その時史郎は、壁にかけてあった蝶の標本があちこち無くなっているのに不審を持ち、至の部屋に入ると、人間標本の論文と人間を標本にした遺体の写真を見つけました。
史郎は5人を殺害したのは至だと確信し、元別荘まで車で移動しました。
そこで至と出会い、以前台湾旅行で一緒に味わったパイナップルのカクテルで乾杯しました。
その場で史郎は至を毒殺し、6人目の標本にすることで、他5人の至の殺人も自分がやったことにして、至の罪を消そうとしたのでした。
一ノ瀬杏奈の衝撃的な真実
史郎が留置場に入って3年が過ぎ、一ノ瀬杏奈が面会に来ました。
そこで留美が亡くなったことと共に、衝撃的な告白をされます。
一連の至以外の5人の殺害は杏奈が実行したとのことでした。
至には、5人をばらばらにしているところを見つかりましたが、その後死体をばらばらにするのを手伝ったとのことでした。
杏奈は、留美に後継者とみとめてもらいたいが為に、5人を標本にしたといっていました。
しかし史郎は、その割に準備ができすぎている違和感に対し、本当は留美が計画したのではないかと詰めよります。
杏奈は、この殺人は留美の指示のもとで行い、標本にして最後史郎に実物をみせることで後継者として認めてもらいたいとのことでしたが、杏奈は史郎に見せることができず、留美からは役立たずとののしられて、留美はそのまま息を引き取ったようでした。
史郎は真実を知りましたが、自分自身死刑になりたいために、杏奈を告訴することはしませんでした。
留美の思考の考察
結局は、一ノ瀬留美が杏奈に死ぬ間際の芸術家としての最高の作品を残すために、人間標本を作ることを命じました。
そして留美は杏奈に、出来上がった作品を史郎にみせることと言いました。
結局見せることができず、留美は杏奈に激怒していました。
これに対し、最後杏奈も「いったい何を見せたかったの」となぞかけで終わっています。
私の勝手な考察ですが、留美自体は四原色が見えなくなってしまったので、それを完成させるために5人の美しい標本を使って、足りないものを完璧にしたかったのではないかと思っています。
またそれを史郎に見せることによって、小さいころに、蝶の王国という名の絵をもらったことによる恩返しのつもりだったのかなと私なりに解釈しました。
湊かなえの小説は、奥深い話が多いのですが、自分なりに解釈していく楽しみもあるのかなあと思いました。
皆様はいかがでしたか?
今日はここまでです。 ではまた。


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